お箏のおけいこ     1998.9

小学校1年生のうちの娘は、6月からお箏を始めました。私の母が素人ながら習っていたことが
あるので、女の子にはぜひお箏を、と勧められたこともあって、今回演奏してくださる
はくが会の先生にお願いしました。
子ども用の爪を用意してもらって、S先生のお宅で初めてお箏を弾いたとき、
自分の音にちょっとびっくりしたようだったそうです。ふだんのレッスンは、うちの事務所に
来てくださる若い先生に見ていただいています。お箏は母の家にあるので、毎日学校から帰るとすぐ
出かけていって練習します。ほんの10分ですが、今のところ楽しくて、毎日すすんで弾いています。
毎年8月に私の生徒さんたちの発表会があるので、S先生におそるおそる出演させたいのですが、
とお願いしました。始めたばかりでとんでもない、と一括されるかと思いましたが、
先生は「ああ、その日はもう用事があって行ってあげられないわ。それでもよければ
『ロバさん』と『さくらさくら』はどうでしょう。ピアノの生徒さんたちにも、
ぜひお箏を聞かせてあげてほしいわ。」とおっしゃってくださいました。
娘は大張り切りで練習しました。ある日、S先生宛ての手紙を書いたと言って持ってきました。
「Sせんせい、げんきですか。げんきならリリアにきてください。」私は先生がお忙しいのを
知っていたので先生にはお見せしませんでした。発表会の前日、S先生から電話がありました。
娘と替わってくださいとおっしゃり、何やら話していました。電話のあと、娘に
「何のお話だったの?明日がんばって、って言われた?」と聞くと、「ちがうよ。
S先生明日行けなくてごめんなさいって。あと上手に弾けるようにお祈りしていますって
言ってた。」とふんふん納得して嬉しそうにしていました。ちょっと意外でしたし、はっとしました。
S先生は、まだ2回しか見ていただいていない始めたばかりの子どもを一人前に扱って、
声をかけてくださったのです。ピアノの先生としての私は、先生>生徒という関係を前提として、
ついつい子どもたちにがんばってがんばっての励ましコールを連発してしまいます。
子どもにしてみれば、「私だってがんばってるよ〜」と言いたいこともあるでしょう。いいなあ。
やっぱりお箏を習わせてよかったなあ、とうれしくなる一方で、私はいろいろ反省させられました。
発表会当日、娘は緊張した面持ちでしたが、初めての演奏を無事に終えることができました。
今日も娘は始めに「お箏さん、お願いします。」のお辞儀をして、終わりには
「お箏さん、ありがとう。」のお辞儀をして練習しています。
小さな礼節を大切にする習慣も美しいと思います。
  ずっとずっと続けていこうね。

事後報告    2002.9.23

娘のおけいこは続いています。小五になって、この夏初めて
古曲「六段」を始めました。今は、毎週千駄木のS先生のお宅に
一人で通えるようになりました。私よりも一回り先輩のS先生、
相変わらず子どもの目線を見失わず、娘に楽しくおけいこしてくださっています。
お箏の先生になりたいという娘、S先生がかっこいいからだそうです。

 

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