しろくも3丁目

                         1999年11月

今回はクリスマスだし、ちょっとほんわかしたお話。
  G君は保育園で次男と同じ年長クラスです。お母さんと二人で暮らしていました。
ある日、次男が「G君はお空の『しろくも3丁目』に住んでるんだよ。
だから、毎朝眠いのに起きて、飛行機に乗って地球に降りてきて、
そこからお母さんが自転車をこいで、保育園まで連れてきてくれるんだって。」と、
大まじめで言うのです。ふざけているのかと思ったら、本当にそう信じているのでした。
「だから、朝、すごく早起きしなくちゃいけなくてたいへんなんだよ。」
G君のお母さんもなかなかの役者で、「ほんと、朝から疲れちゃって。」などと言うものですから、
息子はつゆほども疑っていません。日頃お兄ちゃん顔負けのテクニックでTVゲームを操り、
いっぱしの口をきく子どもとは思えないそぶりに、みんなで笑いを抑えるのが大変でした。
そのG君のお母さんが再婚するらしい、という話を聞いてまもなく、
保育園の黒板に「G君は今日で退所します。」と書かれていました。
次男はその日、G君からもらったノートを持って帰ってきました。
「今日は鬼ごっことかしていっぱい遊んだよ。」と屈託なく話す息子に、
「今日でG君最後だったの?」と言うと、「うん、G君のお母さんが結婚しに行くんだって。」
と教えてくれました。「じゃあ、もう『しろくも3丁目』じゃないのね。」と尋ねると、
「今度は地球に住むんだって。」と答えたのです。
最後だからと保育園の玄関までお見送りに行った次男たちに、G君のお母さんが
「毎朝早くからG君を起こすのは大変だから、今度は地球に住むことにしたのよ。」
と話してくれたのだそうです。
まだまだ若くて元気で明るいお母さんとG君、
信州の冬は寒いけれど、どうぞ元気でお幸せにね。

             事後報告        2003.1.27

G君、今頃どうしてるかなあ、と、時々思い出します。
土地柄でもあるのでしょうが、保育園でも学校でも、
どのクラスにも片親の友だちが数人いる時代になりました。
「○○ちゃんちは、お母さんがいなくておばあちゃんがいろいろしてくれてる」とか
「△△君は、お母さんと弟の3人暮らし」とか、子どもたちは、そういう友だちとして、
なんということなくつき合っています。おとなより柔軟な彼らの受け止め方に、
私のほうがはっとさせられることもあります。
人それぞれの人生の選択を他人がとやかく言うのはおかしいし、
ましてや、そのことで区別する必要もない。
そんな当たり前のことを、子どもから教わっています。

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