こどものおけいこのこと・・・@

1993年9月        

ピアノを教え始めてもうずいぶんになります。初めのころの生徒のことを思い起こすと、申し訳なく、
一人一人謝って歩きたいような、せつない気分になります。一生懸命だったことに変わりはないけれど、
自分の理想とか基準とかを(それも理論的な裏付けのあるものでもないのに)がんこに持っていて、
教えるのも下手なくせにずいぶん厳しかったように思います。不思議なもので、今のほうがのんびりと、
適当に息抜きもしながら(失礼!)教えているのに、あのころよりは生徒さんたちは確かにスムーズに
上手になるのです。
私に子どもができてからは、本当にご迷惑をかけながらレッスンをしています。おぎゃあおぎゃあ泣いている
横でレッスンしたり、抱っこしたままだったり、気がつくとピアノの譜面台の向こう側から子どもの顔が
のぞいていたり、ペダルを踏むお姉さんの足を子どもが急につかんだり・・・でも、子どもができてから、
生徒さんそれぞれの個性・性格をそのまま認めてあげられるようになった気がします。専門家を目指して
レッスンするときも、趣味として長く続けようとレッスンするときも、本当にひとりひとりが違います。
こつこつと努力しなければ得られない、練習の向こう側にある喜びや楽しさを、どうやって伝えようかと、
今日も生徒さんの顔を見ながら考えているのです。まあいいか、も時には必要だし、だからといって妥協ばかり
していても進歩がないし、やはりバランスが大事です。
独身時代は、生徒さんを子分のように引き連れて、バレエを見に行ったり(感激した子がロビーで足を上げたり
飛び跳ねたりして、恥ずかしかったものです)、コンサート・ミュージカル・映画などにも足を運びました。
弾く楽しさと同時に、聞いたり見たりする楽しさも味わってほしいとずっと思っていました。それに、
同じくらいの進度で同じくらいの練習量なら、そういった経験や、家族の音楽に対する関心がある子のほうが、
断然すてきな演奏を聴かせてくれます。毎日のおけいこを宿題のようにこなすことだけが音楽に接する時間
だなんて、子どもだって気の毒です。ミュージックランドクラブの会員の方の中にも、生徒さんたちにしばしば
ミニコンサートを宣伝してくださり、たくさんの生徒さんとお見えになるすてきな先生がいらっしゃいます。
ご自身も小さいお子さんをお持ちなのに、と本当に尊敬してしまいます。この地域にそんな先生がいることを
心強く思うと共に、私も子どもをいいわけにせずに、もっと楽しいレッスン、もっと楽しい体験を
生徒さんたちにあげたいと、ちょっと張り切っているのです。


バックナンバーヘ

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送