休日のごちそう 

                   2002年3月

みなさまのご家庭での休日のごちそう、何でしょうか?
 小2の次男の誕生日、「今日は誕生日の夕食、何にする?」と聞くと「コロッケ!」と叫びました。
ジャガイモに挽肉?かなりシンプルな食卓となりました。日頃、平日は夜8時、9時までの
レッスンで夕食はささっと作っておけるものばかり、それも間に合わないと、長男に
「カレー作ってみんなに食べさせて!」と頼んでしまったり。日曜日でも、
コンサートが入ったりすると大忙し。高価な材料や有名店のディナーやテイクアウトではなく、
ちょっと手間をかけてていねいに作ったおかずが、子どもにとってのごちそうだったのでしょうか?
 そういえは、高校時代の調理実習は、今考えると実用性に欠ける、一風変わった?
メニューばかりでした。お米をバターで炒めてから炊くチキンライス、ホワイトソースから作る
コーンスープ、皮から作る餃子・・・、もちろん親子丼もだしをとることから始まりました。
今どき、なかなかやらないことばかり習いました。でもでも、すごくおいしかったんです。
あれは本当のおいしさを教えようとする、家庭科の先生のたくらみだったのかな?
 結婚以来我が家では、だしはかつおぶしから、ホワイトソースも自分で、そして休日には
餃子も皮から作ったりします。家族でわいわい粉を練ったり丸めたり、
みんなで作った餃子を焼くと、あっという間になくなってしまいます
(先生、ほんとにありがとう)。時々、大サービスのお父さんがたこ焼きを作るのも大人気。
自分でちゃんと作ることが、本当のごちそうじゃないかと思えるようになりました。
3月3日のひなまつり、一つ一つの具をていねいに切って煮て、薄焼き卵や海苔を千切りにして
盛りつけるちらし寿司も、材料より「手間」そのものがごちそうといえるものです。
また、昔の人が「一汁一菜」の質素なごはんを食べていたと言っても、
本物のだしに手作りの味噌、(野菜だって味の濃い露地物で)自家製のおつけもの、
そしてかまど炊きのごはんときたら、これも今ではかなりな「贅沢」と呼べますね。
 なかなか「ごちそう」といえるほどのものを作る技術も余裕もないのが悩みですが、
「自分で作る」という贅沢をささやかながら続けていきたい、
子どもにも伝えていきたいと思っています。
  

転じて考えてみると、クラシック音楽も手作りのごちそうに似ています。
電子音やドラム・リズムボックスの派手さはないけれど、一つずつの音を丹念に積み重ね、
切り口を揃え、バランスを整えて仕上げていく。特に弦楽カルテットともなると、
地味で細かい作業の繰り返しです。フレーズや表情を揃え、方向を決め、まとめるという
長〜い道のりを進んで行かなくてはなりません。弦楽器の同種類の音4つだけだから、
同質なだけにばらつきも如実に目立ってしまいます。調和のとれたハーモニーを作り上げ、
多彩な表現も目指さなくてはなりません。些細なことでも意見の違いを調整し、
1つに決めたり、やり直したり。
 でも、その作業そのものが幸せ、という仲間が集まりました。
何回も練習に集まるのは大変だけれど楽しい、お昼の時間も忘れて没頭することもしばしばです。
こうやって、1つの音から大切に、練習を重ね続けられることも贅沢なのかなと思い始めました。
今回はカルテットにピアノも加えて五重奏にして、私も参加させてもらいました。
 私たちの「音楽のごちそう」、チャンスがあったらぜひお聞きください。
                                         

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