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「図工」と「音楽」

                  2003.6 

小学生をお持ちの方はご存知だと思いますが、最近の図工の授業は、描くことが中心ではありません。
「図画工作」の「工作」のほうに重点が置かれていて、「おうちにある材料を集めて
思いついたものを作ろう」「配られたキットの材料で作ろう」などなど。
発想の豊かさとか新鮮さを大切にしていこうという意図はわかるし、楽しそうです。
でも、実際にできた作品を見ていると、作品以前のものや「どうしていいかわからない」
という子どもの声が聞こえてくるようなものばかり。うちの子の場合だけなのかな?
 子どもの中には、きっとその子独自のイメージがあるでしょう。
でも「イメージがある」イコール「それをかたちにして作品にできる」とは限りません。
独創的な作品を作るのにも、思った形を描いたり切ったり、それを貼ったり、工作の技術は必要です。
言葉のポケットが空疎だと想いを文章にできないように、図工だって基本的な技量がなければ、
作品を作るのがたいへん。しかも時間も限られているとなると、
「もういいや」と途中で挫折して投げやりな作品しか作れない子も出てきます。
面白そうな材料だけ与えて、ただ「作ってごらん」というのは、親切ではないかも。

「音楽」にしても似たような感じです。身体表現とか、生活の中から面白い音を探そうとか、
手を変え品を変え興味を引こうとはしているけれど、そればっかりでいいのでしょうか?
私は、学校の「音楽」で大切なのは、お腹の底からしっかり声を出して歌う(怒鳴るのではなく)
力を養うことだと思っています。無理のない自然な発声で、友だちと声を合わせて歌う楽しさを
実感させてあげたい。そこにじっくり時間をかけて教えてほしいなあ。
「大きな声で思いっきり歌える」ことは気持ちのよいことだし、子どもの心を開きます。
 特に今、何に対して「?」かというと、NHK教育「ドレミノテレビ」
(小学校1、2年生向きの音楽)という番組なんです。かなりユニークな扮装のお姉さんが
(お兄さんもユニークだけど)、ちょっと変わった(ポップス調のくだけた?)歌い方で
「森のくまさん」「きらきらぼし」などを歌う。それはそれで味があるし、別の場所でなら
楽しめると思うのですが、あの歌を小学生が授業で見る番組で聞かせるのはどうなのでしょう。
クラス全員があの歌い方をまねして合唱したら、壮絶ですよ。
教育番組に「よい子のみなさんはまねをしないでね」とテロップをつけますか?
小学校1、2年といったら、音楽専科ではなく、クラス担任の先生が音楽を教えている頃です。
「発声は、鍵盤ハーモニカは、ここがポイント」みたいなものがはっきりわかる番組のほうが
役に立つと思うんですけれど。

学校に「表現のための技術をしっかり身につける」芸術科目の授業を、望むことが無謀でしょうか?
「しっかりした基礎が大切」などとというと、「難しいことを言うより、意欲的に楽しんで
取り組むことがだいじ」「自由な発想を尊重したい」という反論も聞こえてきそうです。
でも、クラス授業では高度なことは難しいからこそ、最小限のことにきっちり時間を
費やしてもらえたら、と思います。
それには、基本とは何かという論議も必要でしょうけれど。

 おまけ 

「ドレミノテレビ」ご覧になったことがありますか?
私はよく、朝家事をしながら、NHK教育テレビをず〜っと見ています。
けっこういろいろで、面白いものです。 

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