再び、こどものおけいこのこと

                     1995年2月

                 

春近くなると、私どもの音楽教室でも、たくさんのお問い合わせをいただきます。
何才から始めたらいいのでしょう、というご質問から、今通っている教室のグループレッスンに
落ちこぼれてしまってという嘆きまで、入室のご希望と同時にご相談を受けたりもします。
テレビの前で体を揺すりながら楽しそうに歌を歌っているわが子を見れば、音楽のセンスが
あるのかも、と思うのが親心でしょうし、タイミングよく音感教育を、と考えるのも人情だと
思います。早ければ早いほど、と焦ってしまっても無理はありません。結論から言えば、
「習いに行くこと」を急がぬほうがよい、と私は思います。3、4才で急激に発達する「耳」の
トレーニングと、ピアノなどを「弾くこと」や「レッスンを受けること」とは、必ずしもイコールでは
ありません。小さいころに特に大切な、楽しく歌うこと、自分の声をよく聞くこと(元気よく!と
大声を強要しすぎると、どなってしまい自分の声が聞こえません)、そしていろんな音楽を体験
することなど、家庭でできることはたくさんあります。子どもの体格・体力・理解力など、
レッスンを無理なく楽しく進める条件は一人一人全く違うものです。何才からでもだいじょうぶだし、
遅すぎるということはありません。音楽を楽しむ力と、弾ける曲の進度(一体誰が、こんな基準を
考えたのでしょう?)とは全く別のものですから、他人と同じ曲が弾けるか弾けないかよりも、
その曲に意欲的に取り組めるかが大切ではないでしょうか。
また、私個人としては、小さい人のおけいこはなるべく近所に通うのがいいと思います。
少し大きくなったら一人で通える、通うのが楽しいというふうになりたいものです。それと同時に、
おけいこしている子の家族も興味を持ってあげる。習った曲をちょっと改まってみんなで
聞いてあげたり、上手になったらその子に伴奏してもらって歌を歌ったりリコーダーを
吹いたり・・・家族全員で楽しめると最高ですね。

     事後?報告         2002.10.4

現在の私の考え方では、楽しければよい、というのは、ピアノ教師としての務めの
放棄のような気がしています。本人は楽しいほうがいいですよ、もちろんのこと。
でも、教師の役目は、より深く音楽を楽しむために、確固とした技術を
身につけさせてあげることだという考えに傾いています。。進度はさまざまでも、
常に前進させてあげたい。行きつ戻りつでも最終的には。お気に入りの曲を弾けるように
なることが、楽しむための必須条件だと感じています。本人にそういう意識がなくても、
だまくらかしてでも。それが、センセイのお仕事です。


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