練習曲はきらい?

私のレッスンでは、始めたときからバーナムのピアノテクニック「ミニブック」を
弾いてもらいます。あの本の進め方にあるように、1つのグループにある12曲をまとめて
宿題に出したりはしていません。たいてい宿題は2曲、「ミニブック」「導入編」「第1巻」と
進んできたら、ややこしそうなら1曲にしたりします。のんびりですが、将来ハノンのような
指の体操の練習曲を毎日さらう前段階です。子どもには「水泳の時、いきなり水に
どぼんと飛び込まないでしょ。準備体操するでしょ。これは、ピアノの準備体操よ。」と
説明しています。バーナムの「第2巻」まで進めば、あとはハノンに移行します。

これとは別に、もう少し大きくなると、全音楽譜出版社から出ている「ピアノ・エチュード集@」
(いろんな作曲家のエチュード・オムニバス)や、ブルクミュラー25番練習曲、ル・クーペ作曲
「ピアノのABC」などを弾いてもらっています。ブルクミュラーは必修です。
ごく普通の人たちでは、しっかりのんびり進んでいくので、小学校を卒業するころ、
ブルクミュラー25番を終わればOKというところです。
そのあと、チェルニー30番・40番と進み、「40番が終われば、あとは自由に好きな曲が
弾けるよ。」と言っています。高校を卒業するまでに40番がすめばナイスです。
さらに先、モシュコフスキーの20番練習曲(きれいなので)やクランマー・ビューローを
弾く子もいますが、強制はしていません。チェルニーの50番以降は使っていません。

ものすごくゆっくりとしてる、と思われる方が多いでしょう。
私としては、もちろんもっと進む子を引き留めたりはしませんし、逆にもっと
のんびりしている子のお尻をたたいたりもしていません。
あくまで、趣味で楽しんでいる子たちの場合です。

一般的に言って、みんな練習曲は苦手です。たぶん、家でも毎日きちんと
練習している人のほうが稀でしょう。学校で伴奏を頼まれたりして忙しいからと、
本人がまず最初にはしょるのは練習曲です。私としては、練習曲は残して、
曲のほうをお休みにしてほしいのですが。

私は練習曲が好きでした。機械的に弾いていさえいれば、その曲の要点を
押さえられるし、レッスンに持っていっても、先生もそれ以上ややこしいことは
要求しないし。「練習した」という達成感も、それをこなしていくだけで
得ることができるし。曲のほうはそうはいかない。弾いても弾いても
新しい課題をつきつけられて、途方に暮れるばかり。
練習曲は悩まずに弾ける曲、と思っていましたね。

要点を押さえた練習が、上達への早道であるというのは間違いありません。
練習曲は上達への最短コースだと思っています。
それなのに、子どもは練習曲がきらいです。どうしてでしょう?
タイトルがないということで、抽象的でわかりにくく弾きにくい、と思いこんで
しまうのでしょうか?例えば、ドソミソみたいな繰り返しが退屈なのでしょうか?
(でも、一つずつ変わっていってしまうのも苦手ですよね、そういう子の場合)

私が中学生の時の先生は、チェルニー50番の単純な繰り返しとしか思えないような
曲でも、「ほら、ここの和音の変わりかたとか、本当にきれいよね。そう思わない?」と
感に堪えたようにおっしゃっていました。確かに練習曲は、古典派の正統派の
基礎的な和声で書かれていることが多いです。そういう意味で言えば、美しいかも・・・
私にはそのような技量がないので、「練習曲が美しいから弾こうよ」という方向で
子どもを納得させることができないのかな?

最近は、私も妥協して、「好きな曲を弾くんだったら、ハノンだけは弾こうね」とか、
バッハと練習曲を交代にしたりしています。あまり堅いことは言いません。練習曲を
弾くのに絶対必要な繰り返しも、どうせ家で何度もできないのならここで弾いてね、と
レッスンでくどくど弾いてもらってます。「練習しろお!」と圧力をかけたりはしません。

今現在おけいこに通ってきている子で、小学校の低学年の人たちは、練習曲に対して
比較的抵抗がないようです。この雰囲気のまま大きくなってほしいな、と思います。
繰り返しますが、短時間の練習でどんどん弾けるようになる、上達への
近道だと思っているので。

もちろん、練習曲で学ぶべきことを、他の曲で練習することだって可能です。
いやいや弾いている練習曲じゃなく、弾きたくてたまらないポピュラーの曲で、
面倒な譜読み・動かしにくい指のトレーニング、たくさんのことをクリアしていく
子もいます。それはそれでいいと思っているんですけどね。

普通のおけいこでは、私は、指の体操のような練習曲(バーナムとかハノン)、
いわゆる練習曲(チェルニーのようなもの)、そして曲の3曲くらいを
基本に宿題にしています。これにバッハが加わると理想ですが、今の子どもで
そこまでしっかり練習時間をとれる子はなかなかいないので、そこは様子を
みます。それでも、3曲目がソナチネになったりすると、「なんか、楽譜が
青々しくて(つまり、3曲とも全音の青い楽譜)ごめんね。次は少し工夫しようね」
と謝ってしまいます。3曲は無理なので2曲の子もけっこういます。

ピアノの先生としては、ピアノ中心の生活を送ってほしいとは思わないまでも、
習ったかいのある進歩を遂げてほしい、と考えるのが人情です。
でも、それがこちらの独善的な考え方になってしまうのは困る。
でも、練習曲は弾いてもらいたい。
ここらへんは、ジレンマです。

 

おけいこいろいろへ


 


 

 

 


 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送