おけいこのお作法

音楽の指導とは直接関係ないけれど、どの先生もけっこういろいろなお考えがあるの
ではないでしょうか。お茶やお花ではないので、難しいことは抜き、と思われる方も
いらっしゃるとは思いますが、やはり最低限のお約束はあってもいいかな、と思って
この話題を取り上げました。

まずは挨拶。「こんにちは」はたいがい言えても、レッスンの始めに
「お願いします」と言わないで、椅子にじ〜っと座って待ってる子、
勝手に弾き始める子。最初にレッスンに来たときに、「おけいこの始まりには
『お願いします』って、ごあいさつしようね。」と、伝えられるといいのですが、
お母さんとお話ししたり、楽譜の確認をしたりしているうちになんとなくレッスンに
突入すると、指導するタイミングを逸したりします。私は、「お願いします」や
終わりの「ありがとうございました」がすんなり出てこない子には、
こちらから、礼をしながら「お願いします」「ありがとうございました」を
言うようにしています。そうすると、お互い向き合って頭を下げることになり、
そのうちに習慣もできてきます。

お月謝の出し方。
これは、けっこう難しい。
子どもから「はい、先生。集金!」と、威勢よく片手でほいっと渡されたりすると、
意表をつかれてそのままになったりしませんか?
でも、なんとなく納得できないものを感じると思います。
こういうお作法というのは、家庭によっても違うと思いますし、どれが正しいと
決めつけることもできないけれど、「感じよくふるまえる」ほうが、
「感じの悪いふるまい」よりも、本人の得であると信じて、私は指導を入れる
ことにしています。
例えば、お年玉を「そら、やるぞ」と片手で無造作に子どもに差し出したりは、
親だってしませんよね。相手に対する敬意もさることながら、金銭を大切に扱う姿勢も
大切だと思うのです。
「お月謝袋は先生から字が読める方向に両手で持って、『お願いします』と
軽く礼をしながら渡す」ようにと、私は、小さい子ならお母さんの前でも
お話しします。たいがいは、次の時から、子どもも親も必死で気をつけて
(^^;)渡してくださいます。大きくなった人には、誰もいないときに、
さりげなく伝えるかな。

いただきものをするとき。これも微妙です。片手で紙袋を持って
「これ、お母さんから」とぶらぶら渡すのは、小学校低学年ならかわいいで
すむかもしれないけれど、いつまでもこのスタイルではちょっと困りませんか?
「いつもお世話になっています。これは母からです。よろしくと言っていました。」
(ついでに「伺えなくてすみません」を添えさせることも)
と、袋なら片手で下を支える、箱ならやはり先生から読める方向に両手で持つ。
というのを、実は、私は自分の子どもに仕込んで、練習させてから持たせています。
さすがに、生徒にそこまで練習させて何かをいただくことはしません。が、
「せっかくのお母さんのお気持ちだから、こういうふうに渡してね」と
お願いすることはあります。そう、モノではなく、お気持ちをいただいているのですから。

余談ですが、爪を切ってこない子っていませんか?
「爪は切ってきてね」と何度言ってものびたままで来る子を叱るより、
私は、ピアノの上に爪切りを置いてあって、その場で切ってもらいます。
小さい子なら切ってあげたことも。
「毎週、ここで切ってるんだ」なんていう子もいて、それはちょっとだけれど、
困った困った、と言っていてもきりがないので。

こんなこと、いちいち気をつけなきゃピアノを教えてもらえないの?と
思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、私は、自分が偉いんだから
敬意を払ってもらわなきゃ、と考えているのではありません。
それなりの礼儀というものを知らないよりは、知っているほうが、
どこへ行っても困らないと思うのです。
もし、ピアノがとても好きで、将来専門に進もうと考えて、私なんかより
ず〜っと偉い先生のところに行って、「何なの、この子?」と思われて、
その時初めて気がつくより、小さいころから自然に身についていたほうが
楽だと思いませんか?

娘の箏の先生は、それこそ座り方、ごあいさつ、楽譜の取り方まで、
本当に丁寧にご指導くださいます。叱る、というのではなく、こうするのよ、と
ひとつひとつ説明してくださるのです。親として恥ずかしい思いをすることも
しばしばですが、おけいこの時の態度は、確かにずいぶんきちんとしてきました。
茶道や華道でも、お作法そのものもおけいこの一部です。

今は、学校でさえも、先生に対する態度など、あまりとやかく言われません。
逆に先生に親しみをもって接するほうがよし、とされて、かなり無礼な行為も
許されている気がします。本当にそれでいいのでしょうか?

ピアノのレッスンも、先生の家に入って出るまでがおけいこと考えて、
人格を傷つけないように気をつけながら、ちょっとしたお行儀を
注意していってもよいのではないかと思います。
「なんたる態度!?」と目くじら立てて不快になるよりも、
そのほうがずっと建設的ではないでしょうか?

おけいこいろいろへ

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