おけいこいろいろへ
    TOPへ

 曲の名前   

練習曲やハノンが好きではない子には、ただ「練習曲」とか△番だけ、というのに
なじめない子もいるようです。この曲、どんなふうな曲かな?と思う前に、
題名がないからつまらない、と思いこんでしまうみたい。
「名無しのごんべ」は、人気がありません。
ブルクミュラー25番練習曲も、もしタイトルがなかったら、今ほど普及していたでしょうか?
ツェルニーの練習曲1曲ずつに「公園で」とか「なわとび」とか名前があったら、
子どもたちはずっと楽しくおけいこできるのかな?(せめて小さい子の曲くらい)
オムニバスのようにツェルニーの曲を載せている教本では
題名をつけているものもありますね。
バーナムにしても、こんなメロディーなしの指の体操いやじゃないかなあ、と思いきや、
子どもはけっこうノッてきます。1曲ずつが短いのもいいのでしょうが、あの目鼻も
ついていない人の絵に顔を書いてきたり、「側転」というタイトルだと、せまい我が家で
自分の側転を見せてくれる子も出てきます。「はみがき」なんていうのも好きですね。

  

逆に、大きくなってから始めた子に、トンプソンやバーナムを弾かせるとき、
それぞれの曲の題名が少々じゃまになることもあります。
こんな子どもっぽい曲を今さら弾くのはいやだろうなあと、こちらも遠慮するし、
役に立つのにと思いつつ、他の曲を探してしまいます。
同じ教本で、題名付きのものと、題名なしのものがあればいいのに。

  

曲目には、その曲のイメージをふくらませるという、大切な役割もあります。
イメージなんて一人一人違うでしょうが、方向付けはできますよね。
レッスンの中で、ただただ弾いてもらうのではなく、その曲についてどう感じるか、
どんなふうに弾ければいいと思うか、たまにはのんびりお話ししてみませんか?
以前、ブルクミュラーの「帰途」という曲に、お話を書きこんできた生徒がいました。
「あ、もう夕方だ。帰らなくっちゃ。」から始まり、「早く帰ろう。お母さんが待ってるぞ。」
「おいしいごはんが待ってるぞ。」「あ、雨が降ってきた。」「かみなりも鳴ってるぞ。」
「いそげいそげ。」「家が見えてきた。」「お母さん、ただいま!」と続きます。
ピアノに向かって練習することだけでなく、こういう空想に時間を使ってくれた生徒と
見守るお母さんに脱帽してしまいました。
ただ「f(フォルテ)だから強く弾きなさい」というのと、「雷の音を出そう」と思うのでは
広がり方が格段に違います。
(この曲のタイトル、最近の本では「再会」となっていて、この訳はどうなのかなあ?)
やいのやいの言っても直らなかった弾き方が、「私(ボク)はこういうふうに弾きたい」
という気持ちを持つことですんなり改善することもあります。

  

題名があろうとなかろうと、音楽の中にはストーリーがあります。
ただの練習曲とかソナチネに、曲名をつけてみるのもいいかもしれません。
生徒といっしょに考えるとき、気をつけたいのは先生の気持ちを押しつけない、
というところでしょうか。「こうだから、こうなるでしょ!」と言いきれるものではない。
ただ、中には、自分の思いを口にできない子、そもそも思いをまとめられない子もいます。
そう言うときは、「先生はこう感じたんだけれど」とか、水を向けて、
書かなきゃいけない感想文みたいに強制しないことも大切です。
自由に考えていいんだよ、少しずつ想像していこうよ、と。
ピアノにしろ、言葉にしろ、自分の気持ちを伝えられたらすてき。
自分の言葉で、自分の音で表せるようにしてあげたいなあ、と思います。

おけいこいろいろへ

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送