おけいこいろいろへ

譜面を目で追う

ピアノの楽譜は音が多いので、早くて難しい曲の楽譜を見ながら弾くのは大変です。
そこまでたどり着いていない場合でも、楽譜を見ながら、つまり鍵盤は見ずに
正しい指で正しい音を弾くことが、小さい子には試練です。
でも、とりあえずは楽譜から目を離さずに弾けるようにならないと、
進度がはかばかしくないのも事実です。

宿題の曲がなかなか弾けるようにならない、丸をあげられない子って、
楽譜を目で追いながら弾くのが苦手なような気がしませんか。
楽譜を見てう〜んと考えて、下を見て手の位置を確かめないと音を出せない子。
弾けるようになったときは、暗譜してひたすら下を向いてます。
逆に、手のほうを見ずに楽譜だけ追って弾ける子は、どちらかというと
進みが早い。新しい曲でも比較的すらすら弾いてみせるし。
動かした指と鍵盤の位置の関係がしっかりとしたイメージになってるんですね。

楽譜を目で追いながら弾けないのは、読譜のスピードが足りないのか、
はたまた音のイメージが足りないのか。
個人差が大きいので特効薬はなさそう。
私の場合、生徒が小さいときから
楽譜を(私が)指で差しながらしっかり歌うというのを繰り返します。
楽譜を順々に見ながら自分で読むということ。
宿題の曲も、出したときに一緒に読みます。お手本を弾いてあげるより、
とにかく自分でがんばってみてもらう。
目の前の楽譜を指で差しながら歌ったり弾いたりを繰り返すことで、
楽譜を曲の流れに沿って眺めていく習慣はつくようです。
きっと小さい子にとっては、一つ一つの音を確認するよりも、
かたまりで覚えてしまうほうが簡単でしょう。
でも、音のかたまりを耳から一瞬にして覚えてしまう子って、自分で読むことを
おっくうがる傾向にあるような気がします。あ、音のつながりを譜面から一瞬にして
読みとれるということはすばらしいことですよ。それができたら、新しい楽譜を
見ながらスムーズに手も動くでしょう。でもそうではなく、かたまりごとに
時間が止まって、「見て〜弾く」止まる「見て〜弾く」止まる、を繰り返す
子って、間違えずに弾けるように仕上げるのも苦手ではありませんか?

その段階を過ぎても楽譜を追いながら弾くのが得意じゃない場合、
ある程度弾けるようになったら、手のところを隠して弾いてもらうというのも
試してみてます。あくまで「覚えて弾く」ためではなく、「楽譜を読みながら弾く」
ためのトレーニングです。これもゲーム感覚なら楽しいけれど、修行のように
なってはいけません。

よく小学校の国語の宿題に「音読」つまり朗読がありますが、
ピアノの場合も声に出して歌うのは絶対に必要だと思います。
音読でしっかりと音程を取れるからこそ、黙読でも音のイメージがついて
どんな流れかつかむことができるようになるのです。
文章を音読する場合、声に出している部分の少し先を目で追いながら進みます。
音楽の「音読」の場合も、かたまりで覚えて歌うのではなく、
次の音がどこなのか考えて先読みしながら進むトレーニングを積むほうが、
しっかりとした音程感も身につく気がします。

本を目で追いながらよどみなく読めるように、楽譜を目で追いながら
時間を止めずに手を動かせる。小さいときからピアノを弾いてきたおとなに
とっては当たり前のことを、子どもが一体いつ、どんなふうにして身につけて
いくのか、私にもよくわかりません。わかるのは、自然に身につく子と、
ほったらかすといつまでも苦手な子がいるということ。
ピアノの先生は、この「すらすら進める子」ではなく「器用じゃない子」のために
あるのだと思うときがあります。だって弾ける子は、何をしていてもどんどん
進んでいけるもの。
だとしたら、器用じゃない子のために、何をしてあげればよいのか。
今は、一緒に楽譜を読んであげるという作業を、根気強く続けるのが最善かな、と
考えています。まずはその子のスピードで。

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