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映画

 

そんなにたくさん見るほうではありませんが、
忘れられない映画というのはあります。
やはり文学に関係するものが多いかな?

it's new! シベールの日曜日(セルジュ・ブールギニョン監督)
1962年のフランス映画。評判を読んで、高校時代に名画座で見ました。
戦争で記憶を失った青年と、修道院で育てられている(名前も、修道女がつけたという)
少女との交流と悲劇的な結末の映画です。青年はハーディ・クリューガー、そして
全世界を魅了したという少女はパトリシア・ゴッジ。
孤独な少女と青年は、お互いをよりどころとして生きていこうとするけれど、
変質者が少女をねらっていると思いこんだ通報者のために、青年は警察に追われ
塔から落ちて死んでしまいます。プレゼントのかわりに、自分の本当の名前を
紙切れに書いてマッチ箱に入れて青年に渡した少女は、
最後に「私の名前はもうないの。私は誰でもないの」と泣きじゃくります。
あどけなさと、青年への思慕の情をあますところなく演じたパトリシア・ゴッジは
このあとも「かもめの城」という映画で絶賛を浴びたようですが、
今では消息不明のようです。

先日、やはりフランス映画の「レオン」を見て、この「シベールの日曜日」との
共通点を感じました。同じフランスだからか、少女のけなげさと意志の強さみたいなものの
描き方がよく似ていると思います。
現在ビデオもないようなので、BSなどでの放映を待っています。

 

ベニスに死す(ルキノ・ビスコンティ監督)
 
これも、高校生の頃「ぴあ」をくまなくチェックして、場末の名画座まで通って何度も見た映画です。
(今どき、名画座そのものが存在しなくなってしまいました。今思うと懐かしい話です。)美少年役のビョルン・
アンデルセンに夢中になり、1970年頃の雑誌「スクリーン」「キネマ旬報」を手に入れたりしましたね。
この年になってみると、老醜をさらすダーク・ボガートの心情もわかる気がします。それにしても、ビデオって
すごい発明です!!ビスコンティの作品はどれも好き。

 

ラブレター(岩井俊二監督)
 
浅田次郎原作のではなく、中山美穂主演のものです。高校時代の友人に勧められて見ましたが、
はまりました。 もちろん文庫本も持ってます。何度も見ているうち、これは中山美穂演じる二人の女の子の
話ではなく、山で遭難した藤井樹という青年(?)の物語なのだと痛感しました。「青い珊瑚礁」を
歌いながら死んでいった彼の初恋は、彼の死後、婚約者の大胆な行動の予想外の結果として、
その相手であるもう一人の藤井樹に届くのですね。
蛇足ですが、図書館・図書委員というキーワードに弱いんです。

 

ピアノ・レッスン(ジェーン・カンピオン監督)
この映画に対する気持ちはちょっと複雑。もう2度と見たくない、でも心のどこかに引っかかっている映画。
だいたい、女房の浮気にピアノが絡んでるからって、指をちょんぎっちゃったりする? あのシーンは
正視できません。そもそも考えてみると、この映画に出てくる人物ってみんなすごく強い人たちですね。
西洋人の思考だなあって思うもの。主人公エイダだって、そんなに堪え忍んでいる風情ではないし。
全然出てこないけれど、耳の聞こえない娘に子どもがいて出戻りなのか行かず後家なのか(ああ、
ここらへんの日本語も粗忽きわまりないです)だからと、写真だけで辺境の男に嫁にやる父親っていうのが、
設定として過激。と、文句のつけようはいくらでもあるんですが、でも心の襞の描き方が独特で、
忘れがたいです。主人公の娘フローラ役のアンナ・パキンが好きです。海辺でピアノに 合わせて
踊っているシーンはいいですね。ナイマンの音楽もなかなか。
余談ながら、この監督の「エンジェル・アット・マイ・テーブル」という映画を録画したのですが、
半分くらい見て挫折してます。ついでにこの原作も持っています。(図書館の廃棄本の配布で
もらってきました。あれは、私が持って帰らないとこの本は捨てられる、とせっぱ詰まってしまう
イベントです。関係ないけど。)

 

ペーパームーン(ピーター・ボグダノヴィッチ監督)
これは、テイタム・オニールのデビュー作で、いきなりアカデミー助演女優賞を獲得しました。
1973年の映画ですが、1930年代の雰囲気作りか、わざと白黒で撮られています。
共演者は実の父親のライアン・オニール(「ある愛の詩」で一世を風靡)。
詐欺師のモーゼが孤児アディを親戚の家に連れて行く道中の映画。
10才のテイタム・オニールがひたすらキュート。モーゼに「あなた、私の
お父さんじゃないの?」とカマを掛け、「だって、あごの線が似てるって言われたもの」
(そりゃそうだよ、実の親子共演だもの)とすまして言う、アンファン・テリブルで
ございます。
テイタム・オニールは、その後テニスのマッケンロー(ああ、この名前だってもう過去の
ものだわ)と結婚し、離婚して、最近はあまりお見かけしませんが、本当にきらきらした
少女の時代を銀幕に永遠に焼き付けたというのは、彼女にとっても私たちにとっても
幸せなことです。

 

カミーユ・クローデル(ブリュノ・ニュイッテン監督)
彫刻家カミーユ・クローデルの伝記をもとにした映画。主演はイザベル・アジャーニ。
知っている人には言わずもがなですが、カミーユ・クローデルは詩人で外交官でもあった
ポール・クローデルの姉。女が彫刻なんて、と思われることも多かった時代に、若いころから
彫刻に身を捧げ、パリに出てきて、時の人オーギュスト・ロダンの弟子になる。
秘蔵っ子としてかわいがられ、ロダンの愛人となり、でも奥さんを捨てきれないロダンとの
軋轢に精神の均衡を失い、晩年は精神病院で一生を過ごします。「女流」という枠を超えた
作品を次々と発表するものの、精神に異常をきたしてから、その多くを自ら破壊してしまいます。
ドビュッシーが彼女に恋をしていたとも言われる美女ですが、母親との葛藤、不毛な恋に
ほんろうされる人生、美しさと聡明さは幸せへの鍵ではないんですね。
彼女を演じるイザベル・アジャーニは本当にきれい。それだけに、すさんでゆくカミーユは
あわれ(実際にはとても不潔になったり、もっと壮絶だったらしい)です。
長いし暗いけれど、好きな映画です。


 スモーク(ウェイン・ワン監督)
これはアメリカ映画ですが、監督は「ジョイ・ラック・クラブ」も撮った香港生まれ、
サンフランシスコ在住のウェイン・ワンです。
ビデオ屋で見つけて見て、思わぬ当たりだったというか、すごくよかった。
1990年代、街角のタバコ屋が毎日毎日自分の店の前から同じ四つ角を
撮り続けています。さえない小説家が来て、その写真を見て涙を流す。
彼の死んだ奥さんがある日の写真に写っていたからです。一方、小さいころ
自分を捨てた親を捜す少年も出てくる。町のタバコ屋に集まる人々を描いた
佳作です。なんかね、成功したとか超幸せっていうのでもない生活を送る人たちが、
それなりに生きてるっていう感じでしょうか。
私はタバコは吸いませんし嫌いですが、タバコ屋にタバコ買いに集まるってのも
あるんだなあ、と思いましたね。
この映画を見てから、ビデオ屋(ここも、タバコ臭いのだけが難なの)で同じ監督の作品を
探していたら、店員さんが「それって三部作になってて、ほら、ここですよ」と
教えてくれました。アルバイトのお兄さんも、きっとウェイン・ワンの作品が好きだったんで
しょうね。ちなみに、淀川長治さんも、この作品をすごく好きだったようです。

 

ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ(アナンド・タッカー監督)
やっぱり出てきたか、と思う人も多いでしょうね。ただ、この映画は、映画がいい、というより、
やはりデュ・プレというチェリストの話になってしまいます。見たときは本当に衝撃的で、
しばらくじーんとしてしまいました。まれにみる才能のある女流チェリストが、誕生し、
栄光の絶頂で不治の病に倒れ、そして亡くなるまでの実話です。
自分の中で鳴り響く音楽を音にできなくなる、それだけでもう胸の痛くなる話です。
私がデュ・プレを知ったころ、彼女は引退をしたものの生きていました。
バレンボイムの指揮するプロコフィエフ「ピーターと狼」で、語りをしているレコードの
テープも持っています。暖かい語り口でした。
映画では、破天荒な妹の面倒を見るしっかり者のお姉さん、ヒラリーの姿も胸にせまり
ました。小さいときは自分のほうが才能もあると思われ、自分でも妹より、と思っていた
彼女が、ジャクリーヌに追い越され、自分の限界を知り、それを受け入れ、自分の
ポジションを見つけていく。この映画では、ヒラリーの哀しみという部分も、
丁寧に描かれていたと思います。

この映画がビデオレンタルになったとき、仲間内で評判になり、
みんなでこぞって見ました。ついでにデュ・プレの生前のドキュメンタリーや
演奏のビデオも一緒に見ました。生き生きとした姿が、なおのこと
痛ましい気もしましたが、その音楽の奔放さ・闊達さに、
やはり素直に感動しました。
本当に、人を幸せにする演奏をした、天才の一人だと思います。

 

真夜中のカウボーイ(ジョン・シュレシンジャー監督)
またもや古い映画なんですが、1969年のアメリカ映画です。
ジョン・ボイド演じるど田舎者が、ニューヨークではカウボーイが受ける、と信じて
やってくる。そこで、どぶねずみみたいに暮らす(だからあだ名がラッツォ)リコと
出会って、あぶくみたいな生活を求めて怪しげなことを繰り返す。
病気が悪化したラッツォをフロリダへ連れて行こうと「カウボーイ」は資金を
強奪し、南へ向かうバスの中でラッツォは死んでしまう。
かなり暗い話ですね。
ラッツォを演じるダスティン・ホフマンの鬼才とも言うべき演技力もすごいし、
ジョン・ボイド演じるおめでたい田舎者もなかなか。
「都会の孤独」というと陳腐ですが、成金っぽく浮かれ騒ぐ人間と、
裏通りでかつかつに生きている人間の対比に、高校生の時初めて見た私は
がつーんとショックを受けました。
「フロリダ」に象徴される「もっと幸せなところ」を求めて、でもかなわないという、
なんともせつないラストです。


 天使にラブソングを2(ビル・デューク監督)
私は、第一作目より、こちらをだんぜんおすすめします。
ウーピー・ゴールドバーグ演じるショーガールが(彼女はこの呼び方に納得してませんが)、
廃校に追い込まれそうなスラムの高校を、合唱コンクールで優勝させ、学校の存続も
決まるという、気持ちのよいストーリーです。
もちろん、今回も、ウーピーは尼僧のふりをする。
やる気のない生徒たちが、始めてほかの生徒の前で、「Oh,Happy Day」を歌うところ、
そしてなんといってもコンクールで「Joyful,joyful」を歌うところ、
難しいこと言わずに、まあ見てみてください、という気持ちです。
ご都合主義だとか、いろいろ言いたければ言えるけれど、でも合唱の力は本物で、
素直に感動できます。
母子の葛藤もあり、でも、全編に通じるユーモアに満ちた楽しさ、娯楽作品として
ものすごくよくできていると思います。

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